天元ふみブログ

片付けられない感情を歌う「片付けられない女」の日常

 

ベッカムの絶滅

高校時代は

ベッカム全盛期だった。

ちょっと小綺麗な男子は

ほとんど

サイドは短く

真ん中ボリュームを残して

刈り上げ

センターに向かって

ふわっと

髪を立てる

ベッカムヘアだった。

隙あらば

鏡はもちろん

窓ガラス

車のボディー

よく磨かれた机に

自分の姿を映し

上目遣いで

せっせと髪を立てていた。

平成の世に珍しく

「男子は坊主」という校則の

山の中の中学から

進学した私は

オシャレ男子の存在に

カルチャーショックを受けた。

そのうち

さほど小綺麗でない

男の子たちも

気づけばベッカム化し始め

やがて

右を見ても

左を見ても

ベッカム

という光景が当たり前になった。

なんでそんなことを

思い出したかというと

亀戸駅のホームに

昔懐かしの

ベッカムヘアの

学ランがいたからだ。

背格好や

体格が

同じクラスだった

「川野くん」

にそっくりで

思わず

「か…」

と声かけそうになって

そうか

今もう川野くんは

学ランじゃないのか。

そして

ベッカムでもないんだろうな

と思って

少し切なくなった。

でも、私は

いまだに

時々

セーラー服を

着ています。

…あの頃の私

ごめんなさい。